モン・ドールチーズのすべて


冬が近づくと、チーズ好きたちがこぞって待ちわびているチーズをご存知ですか?

答えは、モン・ドール

スプーンですくって食べることができるほど、なめらかで水分の多いフランス産のチーズです。

モン・ドールはエピセア(トウヒ)の木箱に入っていることでも有名で、毎年チーズ愛好家を楽しませています。

そのまろやかな味わいは、子どもから大人まで誰にでも愛されています。有名なモン・ドールチーズのオーブンレシピは、家族、友人問わずいつも大好評なのです!


モン・ドールとは?


モン・ドール(ヴァシュラン・モン・ドール)は、牛の生乳で作られた柔らかいチーズで、表皮はウォッシュタイプです。このチーズは、涼しいセラーで1ヶ月間熟成され、最後の数日間はエピセアの木の箱の中で過ごします。非常に柔らかく、水分の多いペースト状の独特の食感が特徴です。木箱はチーズの直径よりもわずかに小さく計算されているため、細かい皮にしわが寄ったような見た目になります。チーズと容器の間で絶妙なハーモニーが生まれ、モン・ドール特有の木のような味わいに!


実は、モン・ドールは最もグルメなチーズの一つであると同時に、最も繊細なチーズの一つでもあるのです。

モン・ドールは8月15日から3月15日までの間、モンベリアード種またはシンメンタール種の牛の乳からのみ作られ、P.D.O(フランスではA.O.P.とも呼ばれる原産地名称保護。本物の証!)によって保護されています。


ヴァシュラン・モン・ドールチーズの歴史


スイスとフランスの国境にまたがる標高1461mのモンドール山に、有名なチーズ「ヴァシュラン・モン・ドール」があります。 フランスとスイスのチーズの中で最も有名なチーズの一つであるモン・ドールは、チーズ愛好家の冬の定番となっています。


モン・ドールの起源をたどるのは難しいと言われますが、13世紀にはすでに、フランシュ・コンテ地方のドゥー県とヴォー県の森に囲まれた場所でチーズが作られていたという記録が残っています。 それ以前からアルプス地方でチーズが作られていたことは間違いないのですが、現在のような酪農やチーズ作りの先駆けは、実は修道士たちが中心となって行っていたのです。修道士たちはアルプス山脈の高地を開拓して広大な土地を作り、夏には放牧を行い、豊かなミルクを生産していました。


アルプスの豊かなミルクは、春と夏に多く生産されます。春の出産、子牛の飼育、子羊の飼育の後、動物たちは最も豊かで豪華な牧草地に出て、最高の(そしてたくさんの!)ミルクを生産します。その牛乳を冬のために保存する方法としてチーズが作られたのです!


しかし、モン・ドールは夏には作られず、秋と冬に集中して作られ、最も早くて8月15日に始まるのが特徴です。

では、なぜヴァシュラン・モン・ドールは冬の季節限定チーズなのでしょうか? 


さて、春から夏にかけて、このアルプスの高地フランシュ・コンテ(主にドゥー県とヴォー県)ではこの時期にたくさん採れたミルクを使ってチーズが作られていました。この素晴らしい牧草地と豊富なミルクを利用して、小さな農家は自分たちのミルクを保存し、地域の協同組合(フルティエール)を作ることにしました。 そして、多くの農家のミルクを使って、冬を越すために熟成させた大きなチーズを作ることができるようになったのです。これが、グリュイエールコンテの誕生です。


しかし、夏が終わると、チーズを製造しているフルティエールへの道は雪で通れなくなってしまうことが何度もありました。 さらに、冬は気温が低く、牛が泌乳期の終わりを迎え、牛たちが山の豊かな牧草地から谷に下りてくる時期でもあります。 このため、乳牛の乳は脂肪分が多くなり、その量も少なくなります。小さくて柔らかいチーズを作るには、このタイプのミルクがぴったりです。


そのため、各農場では、寒い条件の下で、脂肪分の多い牛乳にぴったりな、とっても濃厚で柔らかい小型のチーズを作ることになったのです。 実際、あまりに濃厚で柔らかいので、チーズの形を保つために型に入れなければならないこともあります。農家たちは、アルプス全体で採ることができるもので型を作ることにしました。それが、エピセアです!エピセア(トウヒ)の樹皮を使った型にチーズをはめて熟成させることで、チーズに木のような風味を与えます。


型にはめた後、チーズの熟成を促すため塩水でチーズを軽く洗い流す工程を15日間繰り返します。

生産地のフランシュ・コンテ地方は塩鉱山の町としても知られており、この塩分を含んだ洗浄液が、まだらなオレンジ色と白いふわふわの表皮(もちろん表皮は食べられます!)を作るのに役立っているのです。 洗浄後、モン・ドールは特徴であるエピセアの箱に詰められ、合計で最低21日間熟成されます。


モン・ドールは、何世紀にもわたり、この伝統的な方法で作られてきました。 そのため、季節感を大切にし、P.D.O.(A.O.P)に規定されている通り、標高700m以上のドゥブ県(フランス)とヴォー県(スイス)でしか作ることができないのです。



モン・ドールの健康効果・栄養効果


服装で人は決まらない...と言うようにそのクリーミーでとっても濃厚なペーストとは裏腹に、モン・ドールが実は最もカロリーの低いチーズの一つであることを知っていますか?100グラムあたり300キロカロリー弱で、実はモン・ドールの脂肪分はチーズの平均値よりはるかに少ないのです!それに加えて、モン・ドールは塩分が低いというのも嬉しいポイント。さらに、カルシウム、タンパク質、ビタミンA、亜鉛などが豊富に含まれているため、モン・ドールは美味しい!と楽しむだけでなく、健康にもよく、体型にもそれほど危なくないチーズなのです!

モン・ドールが食べられる季節は?


モン・ドールは季節限定のチーズです。8月15日から3月15日の間だけ作られるので、熟成期間を含めると、10月から4月の間だけ食べることができます。



モン・ドールの保存方法は?


モン・ドールは、箱のまま冷蔵庫で2〜3週間は簡単に保存できます。また、もしなかなか食べる機会がない場合でも、冷凍すれば賞味期限は2ヶ月に延びますのでご安心を。冷凍すると、さらにクリーミーな食感になるので、よりおいしくいただけます。1点覚えておいて欲しいのは、チーズの風味を取り戻すために、味わう1時間前には必ず冷蔵庫から出すということ!



モン・ドールの調理法は?


モン・ドールは、とても簡単に美味しく調理できるチーズです。実際、モン・ドールの箱ごとオーブン焼きのレシピはとっても有名で、このレシピ抜きにしてモン・ドールは語れません。作り方はとっても簡単。チーズにナイフで穴を開けて、白ワインを注ぎます。あとは箱のまま丸ごとオーブンに入れて焼くだけ!グリーンサラダを添えれば軽食に、ソーセージを添えれば夕食に、クルミの実やローズマリーなどのハーブを添えてオリジナルオードブルに!様々な方法で楽しめます。


手を加えずにスプーンで直接木箱からすくい取って、美味しいパンに乗せて食べるのも最高です。加熱しても美味しいので、オムレツやキッシュにも。また、フランス・サヴォワ地方の郷土料理タルティフレットをルブロションチーズの代わりにモン・ドールで作ることもおすすめです!パスタやリゾット、サーモンステーキの上にかけたり、少し木の香りのするクリーミーなチーズソースを作ったりするのにぴったり。ホタテの貝柱には、モン・ドールのエレガントなエマルジョンを。開いた鶏肉に詰め物を敷き、筒状に巻いて調理した鶏肉のバロティーヌには、モン・ドールとキノコのクリームをどうぞ。伝統的なもの、トレンディーなもの、シンプルなもの、凝ったもの...モン・ドールを使ったレシピには失敗がありません。どんなものにもモン・ドールを合わせておけば間違いなし!



モン・ドールの選び方


皮はピンク色で、シワがあって割れていないものを選びましょう。モン・ドールには多くの模造品があり、すべてが認定されたモン・ドールというわけではありません。製品に必ず表示されているP.D.O.(A.O.P.)の表示を確認しましょう。これは生産方法を保証するものです。ちなみにP.D.O.(A.O.P.)では、それぞれ1ヘクタール以上の牧草地で牛を飼うことが義務づけられているんです。エピセア(トウヒ)の箱も、P.D.O.(A.O.P.)の仕様書に定められた特定の基準を満たさなければならないのです。黄色と赤のロゴマークがあることが、良いチーズを買っているという何よりの保証になります。

 

モン・ドールの品種


日本では、モン・ドールは一種類のチーズとして考えられることが多いですが、実はモン・ドールの中にも色々な種類があるのです。

モン・ドールまたはVacherin Mont d'Or ヴァシュラン・モン・ドール(ハイフンなし)は、ヴァシュラン・モン・ドール Vacherin Mont-d'Or (ハイフンあり)と混同しないように注意してください。ヴァシュラン・モン・ドール Vacherin Mont-d'Or (ハイフンあり)はスイスのチーズで、モン・ドールとは似ていますが、牛乳を加熱して作られたものです。スペルも製造方法も微妙なニュアンスがあり、750gのものから、1.5kgを超えるものまで、さまざまな大きさのものがあります。大ファンなら一度は挑戦してみたい1.5kg!

本場では、チーズ専門店はもちろん、スーパーでも購入できます。

表皮はいつもしわしわで、ほんのりピンク色、細かい羽毛のようなふわふわ(もちろん食べられます!)に覆われています。光沢のあるペーストは、クセがなく、とてもクリーミーで、口に含むと少しねばりがあります。


フランス人も大好きなモン・ドール。ぜひ、とろとろでツヤツヤで濃厚なモン・ドールを味わってみてください!


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