ディエップ、ル・アーヴル、ルーアンといった工業都市に挟まれた静かな町、ヌーシャテル(オート・ノルマンディー地方、ペイ・ド・ブレイ)が、このチーズの産地です。百年戦争(1337年~1453年)の頃、ヌーシャテルのフランス人酪農家の娘が、占領していたイギリス人兵士恋心を抱くようになりました。切ない気持ちを託そうとハート型のチーズを作って彼に送ったのが、ハート形のヌーシャテルの起源だという伝説が残っっています。それ以来、ヌーシャテルのチーズは、その特徴的なハートの形、白く輝く表皮、そしてベルベットのようなクリーミーな内部で知られるようになっりました。ハート型のみならず、正方形、円筒形、マッチ箱のような長方形など他の形も見られます。
レンネットの添加を最小限に抑え、非常にゆっくりと酸味と水切りを行う凝乳(乳酸発酵は約24時間、涼しい冬はもっと長い)を行い作られます。伝統的には、前日のチーズを1つ、今日の凝乳に加えなければなりません(現在ではほとんど行われていませんが、正しいカビやバクテリアを繁殖させるために行われていたようです)。予備水切りをした後、様々な形に成型され、塩を振って乾燥させます。その後、熟成庫に移され、そこではペニシリウム・カンデム/カメンベルティ(白カビ)が繁殖するように、約12℃という適切な湿度に保たれているのです。
ヌーシャテルは10日熟成のものから販売されているが、一般的にはもう少し熟成した3-4週間のものが多く、カマンベールよりも皮が厚く血色がよく、内部はより酸っぱいのが特徴です。