南仏・ルシヨン地方のアピクロン村でワイン造りをするシルヴァンは、養蜂家をしながら、2011年からワインを造り始めました。もともと自然や山が好きだったシルヴァンは大学では地質学を学びましたが、卒業後はワイン畑で働きました。
小さいころ、みつばちマーヤの冒険というアニメが好きだったという理由で、32才になった時、養蜂を始めました。 ところが、養蜂は自然の中での生物が相手の仕事のため、収入面でも不安定な時期が何度かあったそうです。そこで、以前働いていたぶどう畑での仕事も始め、気づいたら自分で樹齢100年のカリニャン畑、グルナッシュ、シャルドネ、ソーヴィニヨンなどの畑を借りワインを造りはじめたシルヴァン。
標高127メートルの位置にある畑は、乾燥していて、風も比較的強いため、病気や害虫が少なく、有機栽培にはぴったりだそう。毎年、安定してよく熟したぶどうを収穫しています。
そんな中、2014年オリヴィエ・クロに出会いました。もともとワイン生産者の息子でワインを造り始めようとしていたオリヴィエ。綺麗な空気の中、化学肥料などを使わないごくごく自然な畑作業をし、ナチュラルなワインを造るシルヴァンとコラボレーションをしてワインを造ることに魅力を感じました。父の蔵でワイン造りをすれば、Caveも機材も畑も全てがそろっているのですが、今は父の畑のぶどうも運んできて、二人でワイン造りをしています。
ワイン造りと蜂蜜生産の両方をするということで二人の会社名はカーヴ・アピコル。APIはラテン語でミツバチ、COLEはぶどう栽培のVITICOLEからとった造語だそうです。
畑では除草剤、化学肥料は一切使わず、全てが手作業。土壌を健全に守るために定期的に耕したり、真剣にぶどうの樹と向き合って、ぶどうの樹の声を聴きながら作業をしています。
彼らのカーヴはもともと地域の大きな協同組合の醸造所だったものの一部の壁を壊して熟成庫として使っています。長く発酵や熟成に使ってきたコンクリート層の壁には酒石酸が赤ワイン色の地図のような模様を作っています。
どのワインも基本は酸化防止剤は無添加、フィルター掛けもしません。ラベルデザインも3年前に一新、マスコミでも注目のカーヴ・アピコル。これからが楽しみな生産者です。
日本でも2019年秋に公開された映画、ワイン・コーリングの中にも登場しています。
樹齢100年のマカブの豊かなミネラル、ほんのりスモーキーなグルナッシュ・グリの果実感のバランスがよく、エレガントなスタイルに仕上がっています。