アルプス地方のサヴォワで作られているチーズ。フランスの3大山のチーズと言われており、口の中で広がる優しい甘さやナッツの風味と濃厚なコクを味わえるチーズです。ボーフォールは、表皮が濃い黄色~茶色で中は淡い黄色でとてもきめが細かく、平らな円筒形の車輪の形をしています。チーズの側面にはくぼみがあり、かつて縄をかけて運んだ名残りと言われています。直径は35~75cm、重さは20~70kgと大きなチーズです。ボーフォールは、牛乳を原料としていますが、牛の群れを季節ごとに移動させ、谷底から標高2500メートルまで放牧するアグロパストラルシステム(農牧業)によって作られています。ボーフォールには、普通のボーフォールと「ボーフォールエテ (été)」と呼ばれているチーズがあります。「エテ (été)」はフランス語で「夏」という意味で、その意味の通りボーフォールエテは、夏季放牧期間に自然豊かで美しいアルプスの草を食べて育った牛から作ったチーズを指します。通常のボーフォールに比べて、色はより濃い黄色でフルーティーな味わいが楽しめます。
サヴォワのボーフォルテン地域で作られていたことがチーズの名前の由来と言われています。「チーズが無いデザートは、片目を失っている美女も同然である」などの言葉を残したフランスの美食家 ”ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン” がボーフォールは「チーズのプリンス」と絶賛したことでも有名です。尚、ボーフォールはローマ時代の文献にも見られる何世紀も前から伝わっている堂々たるチーズで、アルプス山岳地に住む人たちにとってはとても大切な資源でした。しかし、戦後スキー場や水力発電所などの影響もありボーフォールの生産は落ち込み、危機に陥ってしまった時期もあります。そんな中、1961年にボーフォールを守り続けたい人達が力を合わせて酪農組合を結成し、年間を通して生産できるようボーフォールは守られ、現在でも人気のチーズとなりました。
そのままでも食べてもナッツの風味や濃厚なコクを味わうことができるチーズですが、ボーフォーは火を通すとさらに美味しさが増します♪ オート・サヴォワ地方と言えば、フォンデュですが、キッシュやグラタンに使用するのもおすすめです!サヴォワ地方の辛口白ワインと一緒にお召し上がりください。