マッシフサントラルと呼ばれるフランス中央の山々の一つである「カンタル山」から名付けられたチーズ。
伝統的なカンタルはとても大きく35〜45kg、その厚みは40cmにもなります。最近では”Cantalet(カンタレット)”と呼ばれるミニサイズ、10kg程度のものも登場しています。
熟成によって呼び方が変わるのがカンタルの特徴。3種の食べ比べ、なんていうのも面白いですね。
フランスで最も古いチーズと言われているカンタルチーズ。
その歴史はとてもとても古く、なんとローマ時代まで遡ります。ローマ帝国で活躍した政治家、ガイウス・プリニウス・セクンドゥスがその書物の中で、「ローマ人に最も愛されているチーズ」として紹介したのがカンタルの元となるチーズでした。
時は流れ、カンタルは山間部で増産されるようになります。春から秋にかけてミルクを大量に搾乳することで、非常に大きなカンタルチーズを作ることが可能になります。山の中に石で作られたチーズ生産所兼住居で、夏の間職人たちはチーズをせっせと生産。冬がくる前に、放牧されていた牛たち、チーズ職人や農家の人々は山を降り、谷に移り住みます。ここのマーケットでチーズを売ることで、多くの人々の冬の食料を提供すると共に、フランス南部の人々と商品を交換するのに使用されたのがカンタルでした。
乾燥を防ぐために、元々チーズが包まれていたペーパー、またはアルミホイルで包み、冷蔵保存してください。
ワインに合わせるなら同じオーヴェルニュ-ローヌ-アルプ地方の白ワインや、赤ワインであればガメイもおすすめ。熟成が進んだカンタルの場合はコクがあり、スパイシーさがある赤ワインにもよく合います。ビールなら琥珀がかかったアンバービールを合わせても。
カンタルはサラダからグラタンまで比較的何にでも合い、料理の使い勝手も良いです。オススメは薄くスライスしたポテトとベーコンをフライパンで炒め、その上にチーズをかけて絡めていただく「Truffade」と呼ばれる山の料理です。