デンマーク国内で最も人気のあるチーズ、ダンボーは国内チーズ生産量の20%を占めており、デンマーク人の日々の食卓に根付いている角形のチーズです。水分量が多いため、ソフトでカットしやすい質感。でも内部は組織がきゅっと引き締まっています。物によっては表面が黄色いワックスでコーティングされているのも特徴。
イーストとバクテリアが生み出す独特の香り(でもこれがやみつきになります!)と、バターのようなマイルドでコクのある風味。
デンマーク産チーズの特徴は、他国のチーズから学び、インスピレーションを受けている点で、ダンボーもその一つです。1896年、若くて才能に溢れたデンマークのチーズ職人、ラスムス・ニールセンが海外で学ぶ奨学金を国から授与されます。ドイツ語を少しばかり勉強した後、彼はプロイセン、ロシア国境に近い現在のドイツへと向かいます。広大な土地に広がる牧草とそこで暮らす乳牛から取れる牛乳で作られるチーズのクオリティの高さは、当時からとてもよく知られていたのです。ここでチーズ作りを学んだ後、彼はオランダでも修行し、デンマークへと帰国、ダンボーチーズを生み出しました。3カ国で学んだ彼が作り出したダンボーチーズは、チーズの国際交流の賜物、ロシアのステップチーズやオランダのエダムチーズをモデルにしている、と言われるのも納得です。
日々の食卓に根付いているのがこのチーズの特徴。デンマークでは朝ごはんにパンやハムと食べるのが定番です。スライスしてサンドイッチにはさんだり、トーストに乗せて。加熱すると適度にトロトロと溶け出します。