コンテチーズやモンドール並んでフランシュコンテを代表するチーズの一つ。スイスとの国境近く、ジュネーブからもほど近いモルビエ地区で造られている通り、チーズの名前は町の名前にちなんでつけられました。
アイヴォリー色のむっちりとした生地に、オレンジ色の外皮、真ん中の黒いラインがトレードマークです。ラクレットと同じように外皮をモルジュ液*で洗われながら熟成します。(*モルジュ液:チーズの表面についた粘りをふき取り、塩水と混ぜた液体。こうすることで、モルビエの熟成に必要なバクテリアが引き継がれます。)
1玉7~8㎏、直径は30~40cmもある大きなチーズです。寒い山中の冬を乗り切る大切な食糧だったのですね。
実は歴史的にモルビエとコンテは切っても切れない関係なのです。昔コンテは冬の備蓄のために、複数の農家がミルクを持ち寄って多きな塊を作っていました。その時に必ず型に入りきらないカード(ミルクの塊)ができてしまい、半端が余ってしまっていたのです。その余ったミルクに虫が付かないように、ミルクを温めるのに使っていた窯についた煤をまぶして次の日まで保管していました。そして翌日、また余ってしまったカードを足して、一つの大きな塊にしたといわれています。
今は煤ではなく木灰を使っており、保存より装飾的な意味合いになってしまいましたが、このチーズのトレードマークになって親しまれています。
滑らかな舌触りと、少しシャリっとする外皮のコントラストが面白いテクスチャーになっています。
ミルクのコクとナッツのニュアンスが最初に感じられ、後からフルーティーさが追いかけます。木灰は装飾の意味合いとお伝えしましたが、個人的には繊細な木の香りや香ばしさ、少しシャリっとする食感も特徴の一つだと思っています。
ワインは樽感や酵母感のある白(ジュラがおススメ)やスパイスのニュアンスのある白をぜひ合わせてみてください。そのままでも、ラクレットのように溶かしても甘さとナッツ感が増して美味しいです。ジャムを載せたい方はベリー系が◎