トムクライユーズとは、トムの中でもとてもめずらしく日本ではめったに見かけることのないチーズのひとつ。フランスのサヴォア地方で生産された牛乳からつくられていますが、サヴォア地方の標高は平均で1,500m、最も高いところで5,000mにも上ることから、生産が難しく、市場に出回りにくいのです。Crayeuseとは、フランスで「白亜の」という意味を持ち、その名の通り、白亜の美しい灰色がかった白色をしています。トム・ド・サヴォアとは異なり、この白亜のチーズは長い熟成期間を経て、芯の部分がより酸っぱくなります。味わいはヘーゼルナッツのような繊細な香りがあり、熟成時期や季節によって変化します。若いほど、その味は甘く、ほのかな酸味があり、より洗練されており力強く素朴で、時にはわずかな苦味を伴います。最初、温かく湿度の高いセラーで熟成され、厚くクリーミーな層を形成します。その後、涼しいセラーで熟成を続けると、チーズの熟成速度が遅くなり、ペーストはよりコンパクトでチョークのような白亜の質感になるのです。鮮やかな酸味は、サラダなどにぴったりで、夏の食卓に彩りを与えてくれること間違いなし。暑い夏に爽やかな風を吹かせてくれます◎
実は、伝統的にトムは、グリュイエールやボーフォール・エテを作るのに十分な牛乳が残っていないときに、そのあまった牛乳で自分自身やその家族で食べるために作られていたのです。それぞれ農家が牛乳の不足を補うために他の種類のミルクを多めに追加したか、少なめに追加したかに応じて、それぞれの大きさや特徴に大きな違いができていた個性豊かなチーズでした。その中の一つがトムクライユーズで、その酸っぱさが他のトムとは違う大きな特徴です。各トムのトレーサビリティのために、トムを名乗るチーズにはカゼイン(食用に適した乳タンパク質)で作られた丸い形の生産者識別プレートが必須です。赤色は酪農生産、緑色は農業生産を示します。伝統的な生産方法、そしてその味わいや香りは人々やこうした取り組みによって大切に守られてきたのです。
乾燥を防ぐために、元々包んであったペーパーかラップに包んで冷蔵庫で保存してください。
トムクライユーズは、そのままはもちろん、しっかりと焼いたパンと合わせたり、サラダや爽やかな料理との相性もぴったり。暑い季節の食卓に取り入れれば爽やかな酸味でフレッシュさを感じさせてくれる、夏にぴったりなチーズのひとつです。
蔵元:Nicolas Carmarans ニコラ・カルマラン ワイン名:Selves 2018 セルブ 2018
コメント:深い純粋でミネラリー、香り高いテロワールに感動すること間違いなしなこの深い味わいのニコラのセルヴは、トムクライユーズの軽やかな酸味にぴったり!
蔵元:Folias De Baco フォリアス・デ・バコ ワイン名:Uivo Curtido ウィヴォ クルティド
コメント:ジャスミン、カモミール、エキゾチックな野草の香り、モスカテル・ガレゴの豊かなフレッシュさがトムクライユーズの繊細な味を引き立ててくれます。